パニック障害について
パニック障害とは
突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。
このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。電車やエレベーターの中など閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがあります。
パニック障害では薬による治療とあわせて、少しずつ苦手なことに慣れていく心理療法が行われます。無理をせず、自分のペースで取り組むことが大切です。周囲もゆっくりと見守りましょう。
パニック障害の症状
・胸がドキドキする(動悸)
・冷や汗など、とにかく汗が止まらない
・手足や体の震え
・息苦しくて、息が切れそうになる
・窒息しそうな感覚
・胸の痛みや不快感
・吐き気やお腹の不快感
・めまいや気が遠くなる感覚
・しびれたり、うずいたりする異常な感覚
・現実感を失ったり、自分がやっているという感覚が乏しくなること(離人感)
・自分がコントロールできない「どうにかなってしまうのでは」という恐怖
・「死んでしまうのではないか」という恐怖
パニック障害の起こりやすい場面
パニック障害は強烈な不安や恐怖感を伴います。
具体的には、下記の中から複数の症状が同時に約5~20分ほど起こります。
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心の症状
- 心臓がドキドキする(動悸・心拍数の増加)
- 急に汗が出てとまらない、脂汗が出る
- 身体の震える
- 呼吸が早くなったり息切れ、息苦しさがある
- 身体の一部がしびれる、うずく
- 悪寒がする、または火照る
- 喉に何か詰まったような窒息感
- 胸の痛み、不快感
- 吐き気、腹部の不快感
- めまい、ふらつき、気が遠くなるような感じがする
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身体の症状
- 今起こっていることが現実ではないような感じ(非現実感)
- 自分が自分ではない感じがする(離人感)
- このまま死んでしまうのではないかという恐れがある
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パニック障害が起こりやすい場面
- 電車・バスに乗っている時
- 自分で車を運転中の時
- 緊張がとけた時
- 会議に参加している時
- パニック障害を起こしたことがある場所
パニック障害の原因
パニック障害の原因は、まだ解明されていませんが、ストレスや脳内の伝達物質の動きに関連があるのではないかといわれています。
人間の脳には数多くの神経細胞(ニューロン)や受容体(レセプター)が存在し、その間を情報が伝わることで感情、知覚、運動、自律神経などの働きが起こります。その働きに誤作動が生じることでパニック発作や予期不安、恐怖が表れるのではないかと言われています。
どんなに検査をしても見つからない方
何もきっかけがない時にこうした症状が起きると、人は皆、心臓や胃や肺などの病気を考えます。実際、パニック発作は心筋梗塞などの症状によく似ています。そのためはじめは、循環器科や呼吸器科や消化器科を受診することになります。死にそうに思える症状に直面するため、多くは救急車で病院に運ばれます。もちろん、こうした症状を訴える人の多くは本当に心臓や胃や肺などに異常がある人です。ところが、どんなに検査しても内科的な異常がまったく見つからない人も少なくないのです。そういう人は、もしかしたらパニック障害かもしれません。
100人に1人がパニック障害??
パニック障害は決して珍しい病気ではありません。一生の間にパニック障害になる人は1000人に6~9人といわれます。
また、男性よりも女性に発症しやすいということもいわれています。
薬による治療
治療の目的
薬物による治療の目的には、「パニック発作を起こさない」ことが第一目標で、次いで「予期不安や広場恐怖もできるだけ軽減させる」ことも目標になります。
よく使われる薬
一般に、最初に使われる薬はSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)をはじめとする抗うつ薬の一種です。 また、安定剤(抗不安薬)もしばしば使われます。
量と回数
これらの薬の効果は人によって違うため、効果を確認しながら増減したり薬を変更したりする必要があります。正しく効果を確認するためには、医師が定めたとおりの量と回数を守って服用してください。SSRIは副作用が少なく依存性が生じない反面、急に中止すると断薬症状としてパニック発作と似た症状(めまい、発汗、吐き気など)が出てしまうことに注意が必要です。安定剤は、即効性が期待できる反面、長く使い続けると依存性が生じてくることがあります。
パニック障害は薬物療法が効果を発揮しやすい障害です。「薬に頼らず気持ちだけで治す」というのは得策ではありません。
精神療法
パニック障害の治療に用いられる精神療法は、「行動療法」と「認知療法」の2つを行って進められることが特徴です。
行動療法では、再発するパニック発作への不安を感じる予期不安をなくすためのトレーニングをし、避けていた場所に少しずつ慣れる練習をします。
無理なくできる範囲でチャレンジを続けることによって、予期不安をなくすことができるでしょう。
次に、認知療法は出来事に対する捉え方や考え方の中で、好ましくない認知があった場合に修正を加えて治療をしていく治療法です。
パニック障害で不安が大きくなると、日常の様々な出来事に対してマイナスな感情を持ってしまうことが増えてしまいます。
マイナスな感情をプラスの感情に変える習慣を持つことで症状の改善に期待できます。