ストレス関連障害ってどんな病気?
「ストレス関連障害」は、その名のとおりストレスと密接にかかわっています。
ストレス体験によって、多様な精神症状を呈する疾患群で、「不安性障害」の中に位置づけられる障害ですが、ここではあえて「不安性障害」とは分けて説明します。
「ストレス関連障害」は、ストレス体験してから症状が出るまでの時間と症状の持続期間、ストレスの性質によって、 ①「急性ストレス障害」、 ②「外傷後ストレス障害(PTSD)」、③「適応障害」に分類されます。
①「急性ストレス障害」 生命を脅かすような非常に強いストレスに曝された数時間から数日内に、パニック発作、悲哀や絶望感、精神的混乱、注意障害、自律神経失調症状などが出現し、長くても1ヶ月以内には治まってきます。
②「外傷後ストレス障害(PTSD)」 ストレス体験直後から3ヶ月以内に発症し、急性ストレス反応とは異なり1年以上と症状が長く続くことが多く、そしてその恐怖体験が記憶に残ってこころの傷(トラウマ)となり、何度も思い出されて当時と同じような恐怖(フラッシュバック)を感じ続ける障害であります。症状としては、恐怖だけでなく、日常生活で閉じこもりがちになったり体験を想像させるような場所を避けたり、ちょっとしたことでいらいらしたり、びっくりしたり、不眠などの過覚醒・過敏状態が生じてくることも多く認めます。
この病気が社会的に注目されるようになったのは、阪神・淡路大震災、東日本地下鉄サリン事件からですが、大規模災害だけでなく、犯罪被害、交通事故、家庭内暴力(DV)、児童虐待なども、PTSDの原因となります。
③「適応障害」 前記であげたような極端な異常体験ではなく、肉親の死、失恋、失職、対人関係上のトラブルなど、もっと日常起こりうるようなストレスを経験した場合に生じる状態です。症状としては、軽度の抑うつ、不安、心配、仕事や家事の障害などがみられ、3ヶ月以内に症状が出現し、ストレス要因消滅の6ヶ月~1年以内で症状が消滅します。「適応障害」は、そのストレス度合いとストレス耐性力のバランスによって生じてきます。
治療
1.精神療法
治療で重要なのは、まずストレス要因を明らかにしていくことです。またストレス要因が複数の場合には、どれが最も適応障害の発症に影響を与えているかを検討することです。そういったことをふまえて、ストレス要因に対する対処を考えてゆきます。
治療の中で、今後の見通しやストレス要因に対して取り得る対処法について話し合います。そして、本人が、ストレス要因にうちのめされた状態から、少しずつ回復できるように援助していきます。また、ストレス要因から離れて休養をとり、心身の余裕を取り戻すことにより、適切な対処法がとれるようになる場合もあります。
2.薬物療法
上記のような治療に加え、薬を使用することが有効な場合があります。不安、うつ、不眠などの苦痛な症状に対して、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤などを使用して、症状が改善することにより、本人が安心感を経験し、ストレス要因に対処する力が得られることがあります。この場合、薬は、ストレス要因に対処してゆくための手助けと考えることができます。
このような症状でお悩みの方は早めにご相談ください。